鮨 安吉

ー Fukuoka-city, Fukuoka

推薦人
「西麻布 拓」
佐藤卓也さん

推薦人
「すし匠」
中澤圭二さん

“世界で一番好きな寿司屋”と中澤圭二さんが公言してはばからない「安吉」。
九州で揚がる極上のわたに、最善の仕事を施した寿司を堪能。その実力はいかに。

中澤:店の中に入ると、凛とした空気が漂っていて、それだけで頭も体も元気になれるよね。さあ、美味しいものが食べられるぞって。

椎屋:ありがとうございます。では、まずしんこをどうぞ。

中澤:席についてすぐに、しんこが出される。しびれるよね、この展開。

椎屋:最初の一口ってすごく重要ですよね。お客さんの心をぐっとつかみたい。寿司を食べにきたっていう、前のめりな気持ちになってもらいたいんですね。だから、敢えて、つまみではなくて、お寿司をまず一貫だけ。

中澤:見事に、その仕掛けにはまっちゃったわけだ。もう、完全前のめりだもん(笑)。

椎屋:かつおのづけです。

中澤:うーん、旨い。ほら見て、鳥肌がたってきた。ほんとに美味しいものを食べたときだけ、鳥肌がたつんですよ、僕は。

椎屋:光栄です。次はしめ鯖を藁で焙って香りをつけています。

中澤:いいねえ。辛子は和辛子だよね。

椎屋:ええ。本物の和辛子を唯一作っている京都・宇治の店のもの。作るのをやめてしまうそうで大切に使っています。締め鯖に辛子は出会いものですから。

中澤:次の鯖はどこから?

椎屋:対馬からです。

中澤:まだそんなに状態がいいわけじゃないじゃない。それをさ、仕事によってここまでレベルを引き上げるっていうのはさすがだね。素晴らしいよ。

椎屋:一尾一尾の魚の力や個性を見極めることが何より大切なことだと思っています。足りない部分は補い、力があるところは生かしてやる、の仕事の意味がある。ただ、魚をのせるだけでは意味がありません。中澤さんみたいに、そこをわかってくださる方に食べていただくと、寿司屋冥利につきますよね。次は鯖の棒寿司です。

中澤:全部がアートなのよ、ほんとにきれい。普通何回か通っていると、手の内が見えちゃうんだけど、椎屋くんのところだけは、何度食べてもほんとうに新鮮。今の何発かで、完全に幸せになったもの。

椎屋:ありがとうございます。緊張してるんですよ、こちらはすごく。試験受けてるみたいなんですから(笑)。

中澤:何言ってるのよ。ほんとに、世界中でいちばん好きな店ですよ。ここで食べてるときがほんといちばん幸せ。 毎日寿司を握っていて、それで寿司食ってよく飽きないね、ってお客さんにも呆れられるけれど、自分は、もしかすると、握るよりも食べるほうがもっと好きなのかもしれない。評判を聞けば、全国どこへでも行きます。どこで食べても必ず自分の仕事に重ねられる、得るものがあるし。それだけ"好き"を仕事にできるってことは、幸せなことです。

椎屋:ほんとうにそう思います。次はあらの湯引きに梅肉です。

中澤:夏あらってうまいんだよね、意外に。力があるね。

椎屋:さんまを炙ったものに肝をのせました。あじは塩のみで軽く締めて、握る前に軽く酢にくぐらせています。

中澤:その仕事は、逆に鮮度がいいからこそだね。いやすごい、口の中でとろける。

椎屋:穴子は3日目です。表面だけを焙って中はレアにとどめました。今の時季、脂はあるんですけれど、香りが薄いんですよ。だから、ちょっと焙って香りを増しました。

中澤:そうだよね。握りの穴子に求めるのは、香り。そのへんの微妙な加減を見極められるかどうかで、最終的な完成度が決まってくる。職人なら誰でも、上から習ったことを繰り返し、受け継ぐことはできるのよ。でもね、自分で味を決め、味を作っていける人というのは、1000人に一人いるかいないか。椎屋くんはそれができる人。オープン当初の10年ほど前に初めて食べたときは、九州寿司って感じだったけれど、段々処理が繊細になって、もともと持っている椎屋くんのよさがすごく引き出されてきた。

椎屋:ありがとうございます。ここで、ちょっとつまみに戻ります。いさきの白子と真子です。

中澤:口の中でふわっと溶けていくね。

椎屋:いさきの白子を酒煎りするとまるでふぐの白子のようになります。真子はつゆどきの一番大きくなる頃のものを塩をして、干して、3、4日、からすみにしました。自分はぼらよりも好きですね。

中澤:いや、また鳥肌だ。ほんとに美味しい。でも、よくこれだけいさきの白子や真子が揃うね。

椎屋:柳橋連合市場の「天龍」の社長にとっておいてもらうんです。

中澤:そういう個人的な信頼関係とつながりが何より大切だね、寿司屋には。握るのは魚であっても、仕入れ先も、握る先のお客さんも人間なんだから。

椎屋:そうですね。10年目になってようやく信頼関係が確たるものになってきた気がしました。

中澤:九州は文化として、魚が美味しいからあまりいじらなかった。逆に東京はそこまで魚がおいしくないから、いじらざるを得ない。それが結果的には江戸前として寿司の発展につながったわけだけれど。今、その魚を生かす技術を身につけた職人が、土地の魚を生かし始めている。それがでてきたらほんとに強いね。下手な東京の寿司屋よりもずっと発信する力が強い。それこそ地方寿司の魅力です。だから椎屋くんは、握り手としては強力なライバルだけれど、食べ手としての僕にとっては最高の存在。また時間をみつけて足を運びます。


"東京の名寿司職人も惚れ込む"絶品!九州寿司巡り

推薦人:
「新橋しみづ」清水邦浩さん

推薦人:
「鮨 青木」青木利勝さん

推薦人:
「きたむら」北村 淳さん

推薦人:
「西麻布 拓」佐藤卓也さん

推薦人:
「鮨かねさか」金坂真次さん

推薦人:
「銀座寿司幸本店」杉山衛さん

推薦人:
「海味」長野充靖さん

推薦人:
鮨処 つく田」松尾雄二さん

推薦人:
寿司 もり田」森田順夫さん

 

other features

ページトップへ戻る

Follow us!