home >

長尾智子が訪ねる 九州の器 温故知新 第四回 有田焼[佐賀] >

有田焼を牽引する陶器商社「まるぶん」

有田焼を牽引する陶器商社「まるぶん」

- Arita-cho, Saga

陶器商社の果たす役割

クニエダヤスエさんの思い出話に花を咲かせる篠原文也さんと長尾智子さん。

こうした歴史的な背景を持つ有田では、明治に入って藩窯が解体したあとも、陶工の作品を買取って販売するという、陶磁器商社の仕組みが必然となった。明治、大正、昭和を経て、平成の今も、その伝統は受け継がれている。
私達は、何百とある商社の中でも、伝統を重んじながらも、常に新しい取り組みを続ける「まるぶん」を訪ねた。東京の料理人にもファンが多いというその商社は、有田町の有田焼団地の一角に位置する。広々とした見晴らしのいい地に、300mにわたって同規模の商社が並んでいる様は壮観だ。それぞれの商社は、一般の人も訪れ、買い物を楽しむことができるショールームになっているが、同時に、百貨店や個人店などが買い付けにくる、問屋でもある。

「まるぶん」プロデュースの器

上:クニエダヤスエさんのデザインによる、有田焼。古典柄もどこかモダンな趣に仕上がっている。20年以上のロングセラー。  中左:邦のサインが、クニエダブランドの証。
中右:雅やかな和のテイストを取り入れたZEPHYRシリーズのプレート。故・松尾晋平氏とのコラボレーション。 下:究極のラーメン鉢のシリーズ。家庭でのラーメンタイムがぐっと楽しくなる。

こうしたシステムの陶磁器商社が有田には約100軒もある。これらは、窯元から器を買い上げて売るだけではなく、百貨店やレストランなどと共同で、オリジナルの企画商品の開発なども積極的に行なっている。
「わあ、懐かしい。クニエダヤスエさんの器を作っていらっしゃるところだったんですね」と、長尾さんが頬をほころばせる。故クニエダさんといえば、テーブルコーディネーターのさきがけ。長尾さんが料理の仕事を始めてまもない頃、ずいぶんお世話になったそうだ。古伊万里など染付の器と洋食器を合わせるといった、欧米のものまねではない、新しい時代の日本が求める "粋" を創りだした方でもある。そうしたクニエダ流のテーブルコーディネートを完成させるために、20年以上も前に「まるぶん」と共同で、オリジナルの器をデザインしたのだ。
「私は "東京のお母さん" と呼んでいました。それほど可愛いがっていただいて。ほんとにお世話になりました。」と社長の篠原文也さんも懐かしそうだ。
「今見ても、ぜんぜん、古びていないですね。クニエダさんの優しい笑顔と素敵な生活がありありと目に浮かぶ、そんな器ばかり」と長尾さんも改めて感心する。
 ほかにも、今でこそ珍しくないが、フレンチレストランで和皿を使う試みにいち早く取り組んだ。その一つが、鬼才として時代を駆け抜けたフランス料理のシェフ松尾晋氏の試み。和のテイストを取り入れた洋皿は、フランス料理のあり方そのものをも変えたと言って間違いない。また、近年のヒット商品は「究極のラーメン鉢」。家庭でラーメンを楽しむためのカラフルな丼の開発など、多彩な企画を実現してきた。
このように、陶磁器商社は時代を読む確かな目や感性で、日本の陶磁器業界に新風を吹き込み続けてきたのだ。こうした商社が多数集まって、有田の今を作ってきたのだ。

まるぶん

佐賀県西松浦郡有田町赤坂卸団地
tel 0955-43-2351
www.marubun-arita.co.jp


ページトップへ戻る

Follow us!